SDGsを志向した非営利活動の展開

ソーシャルワークに根ざしたまちづくり

石田   潔 医療ソーシャルワーカー
ISHIDA   Kiyoshi
修士 (地域社会マネジメント学、社会福祉学)
地域社会マネジメント研究科修了生

私の本業は病院に勤務するソーシャルワーカーです。ソーシャルワーカーとは、簡単にいうと社会のなかで弱い立場にある方々が、自分の望む健康で文化的な生活を送ることができるようにお手伝いをする仕事です。
私はこの仕事を通じて、社会のなかで理不尽にさらされる多くの方々と出会ってきました。
病気を理由に会社をクビになった人…
病気や怪我が原因で障害を負い、高い能力があるのに不当な賃金で雇用されている人…
体中が傷だらけなのに助けを求められない子ども…
このような立場にあることは、果たして個人の責任なのでしょうか?私はこのような状況を生み出す社会の構造に問題があると考えています。
ソーシャルワーカーはその職業が有する専門的な知識と技術で、社会のなかで様々な問題を抱えて悩み苦しんでいる方々の問題解決のお手伝いをするのが役割ですが、それと同時に、その価値をまちづくりにも役立て、誰もが安心して暮らし続けることのできるまちを形作っていく必要があると考えています。

キーワード
  • ソーシャルワーク
  • まちづくり
  • サスティナブル・デベロップメント
  • 非営利活動
  • 人材育成
  • フィランソロピー

シーズ(研究)紹介

ソーシャルワークを基盤としたまちづくりにおいて重要なのは倫理観です。
まちづくりにおける倫理観というのは少しわかりづらいので、簡単に説明すると、
一つはまちとそこに住まう人々が主役であるという大前提に立つこと、
二つにはまちづくりが私利私欲に結びつかないこと、
三つ目には誰かを傷つけることがあってはならないこと、です。
これらの倫理観に基づいてまちづくりを進めるための非営利活動に取り組んでいるわけですが、では非営利活動とは何なのでしょうか?
対となる概念は営利活動です。営利活動とは社会に優れたモノやサービスを提供することにより、その対価を受けて利潤を上げていく活動を指しますが、非営利活動においても、社会から優れたモノやサービスを要求されます。非営利活動が営利活動と異なる点は、提供するモノやサービスが社会に有益なものであり、その活動を通して得た財を個人へ分配するのではなく、その後の活動へと充分に使い切っていくところにあります。公共の利益にかなう活動であるという側面を有している故、高い倫理観を求められるのです。
いくら安価で優れたモノやサービスでも、それを作る人々が不当に安い賃金で働き苦しんでいるような、誰かを犠牲にしなければ成り立たない社会や経済の仕組みでは、持続可能な社会やまちづくりの実現には程遠いのです。
そしてもうひとつ、持続可能なまちづくりを目指した非営利活動を展開するためには「経済」「環境」「社会」のバランスを保った開発が必要であると考える、すなわち「サスティナブル・デベロップメント」の概念が重要となります。
利潤を優先するがあまり、環境が汚染され公害病のような悲劇を生んでしまうようなことになっては将来にわたって長く持続した、安心して暮らせるまちの実現には程遠いのです。このように「経済」「環境」「社会」のバランスを保つことが非常に重要なのです。
その答えが、持続可能な社会を実現しようとするSDGsの17目標にあると考え、SDGsを目指したまちづくりの非営利活動について主体的に研究・実践に取り組んでいます。

 

実績と今後の活動予定

2019年に設立した一般社団法人を拠点に、自治体が取り組むまちづくりに関する委託事業を受託し、社会資源の調査や活動の評価に取り組んでおり(2019年度は小樽市地域包括ビジョン協議会委託による、在宅医療介護に関わる社会資源調査及び在宅医療介護連携に関わる事業の評価に関する調査研究)、そこで得られた知見を活かして、更なるまちづくりへの展望を提案し続けていきます。
次年度では、新型コロナウイルス感染症の流行により実施を見合わせていた、まちづくりのリーダーを養成する人材育成事業を展開します。
個人においては医療ソーシャルワーカーの立場で、保健・医療・介護・福祉やまちづくりに関わる各種の会議体等に積極的に参加しています。
【公職】
・後志地域リハビリテーション推進会議 医療介護連携班(2013年~)
・一般社団法人 北海道医療ソーシャルワーカー協会 理事(2015年~)
・小樽地域包括ビジョン協議会 委員(2016年~)
・小樽市地域福祉計画策定員会 委員(2019年~)
・一般社団法人 STUDIO CUBE 業務執行理事(2019年~)

地域や産業界、自治体に向けて

私たちは、ソーシャルワーカーはもとより、医療系国家資格を有した専門職や、企業人事のエキスパート等の有志で構成された一般社団法人で活動しており、上記に紹介させて頂いた理念に基づいた実践と研究に取り組んでいます。まちづくりは地域住民が主役ですが、その地域で様々な営みを展開する企業や団体等の多様なステークホルダーの参画が重要です。私たちの実践は、まちづくりに向けた様々なヒト・モノ・コトを結び付け、持続可能なまちづくりのお手伝いをするためのものです。そのためのノウハウを実践・調査・研究を循環させながら蓄積し続けています。
私たちの活動がお役に立てることがありましたら、お気軽にお声かけ下さい。
ともに持続可能なまちづくりを志向して、手を携えて活動に取り組みます。
関連情報