公衆無線LANの相互接続基盤Cityroam(OpenRoaming)の展開

安全で利便性の高い公衆無線LANサービスの普及を目指して

原田   寛之 職員
Harada   Hiroyuki

情報処理課の専門職員(情報処理技術者)として、学内のICT環境の設計・構築・運用などを担当しています。

キーワード
  • Wi-Fi
  • Passpoint
  • OpenRoaming
  • Cityroam
  • 公衆無線LAN

シーズ(研究)紹介

市街地で多く設置されている公衆無線LAN(Wi-Fi)には、暗号化されていないものやキャプティブポータル(接続時にWeb画面上での登録や認証を要求するもの)には、セキュリティ上の重大な問題が多数あることから、自分の認証情報でクライアント端末が自動的に接続可能なSSIDを探索し安全なIEEE 802.1X認証により接続する、Passpointを用いた次世代の公衆無線LANサービスの普及が始まっています。日本国内ではセキュア公衆無線LANローミング研究会によるCityroamが、これらを世界で相互接続する国際的な基盤としてWireless Broadband AllianceによるOpenRoamingが運用されています。

大学キャンパスを生涯学習などの目的で訪れる市民の方にキャンパス無線LANを安全に利用していただくため、また本学の構成員の市街地におけるICTを活用した研究教育活動を支援するため、Cityroam/OpenRoamingの国内外における仕組みの構築と普及のための研究開発を、国内外の研究者や事業者と共同で行っています。

 

実績と今後の活動予定

大学キャンパスを訪れる市民の方がキャンパス無線LANを利用していただけるように、公衆無線LANの相互接続基盤Cityroamに2018年に大学としては世界で初めてキャンパス全域の基地局を接続し(2020年よりCityroamを通じてOpenRoamingにも接続)サービス提供を開始しました。Cityroamを広く展開していくため、Wi-Fi事業者様やWi-Fi基地局メーカー様に、その中核技術であるPasspointや認証基盤についての技術的なアドバイスや開発支援を行っています。

地域や産業界、自治体に向けて

EUにおいては、全域で市民が利用できる公衆無線LANをWiFi4EUとして整備する取り組みが始まっています。電子化されたサービスへのアクセス手段を、様々な事情で自らのネットワークアクセス契約が難しい方々にも広く提供していくことは、社会基盤の維持に不可欠になりつつあります。誰もが利用できる通信インフラとして、Cityroam/OpenRoamingが実現する安全で利便性の高い公衆無線LANサービスの普及を通じて、広く社会に貢献することを目指して今後も活動していきます。