住民把握の形成と展開

堀池   航洋 講師
Horiike   Koyo
博士 (政策科学)
法学部 法律学科

近代国民国家の成立から今日に至るまで、誰が国民か、どのような人物かを“知る”仕組みは行政において不可欠です。そうした住民把握(identification)について、主に歴史的な観点から研究しています。

キーワード
  • 行政学
  • 住民把握
  • 戸籍制度

シーズ(研究)紹介

住民把握は情報の収集・管理・利用のフェーズで構成されますが、情報の収集にあたっては、あくまで住民の自発的な情報の提供が前提となっています。そのため、住民把握を通じて得られる情報は完全ではあり得ず、常に限定的なものとならざるをえません。そうした住民把握の限定性は現代において徐々に狭まりつつあるものの、それでもすべての住民の完全な情報を得ることはできません。
住民把握において情報の収集を担う制度は、それまで感知できなかった情報への対応、すなわち情報の不完全性の解消を試みることで展開してきており、マイナンバー制度、LGBTQや同性婚、無戸籍児、あるいは在留外国人などをはじめとした現代的課題は、こうした住民把握の限界にまつわるものであるといえます。
一方で、このような争点は、その背景にある社会経済的状況や文化的文脈、および歴史的連続性を包括的に捉えない場合、政府の強権的性格が過度に強調されてしまうほか、パターナリズム的な政府の姿に限定されるなど、一面的な評価となりかねません。したがって、住民把握制度を捉える際には、情報の不完全性を前提とした制度観のもと、網羅的な制度史研究の蓄積を通じた住民把握の原理的な知見の探究が求められています。

実績と今後の活動予定

これまで、主に明治期の戸籍制度を扱ってきました。現在は同時期の北海道における戸籍制度の展開をテーマとして取り組んでいます。今後は他の制度や他国の制度に対象を拡げていこうと考えています。

地域や産業界、自治体に向けて

戸籍制度をはじめとする住民把握は、あらゆる行政の根幹となる“あたりまえ”の仕組みです。しかしこのあたりまえは様々な試行錯誤が積み重ねられてきたものです。社会の匿名性やデジタル化が進む昨今、新たな試行錯誤の真っただ中であたりまえを捉え直す機会なのかもしれません。
関連情報
教員教育研究業績
https://researchmap.jp/horii-k