民族の言語を記録し、次世代に継承する試み

ニヴフ語の記録と保存活動

白石   英才 教授
SHIRAISHI   Hidetoshi
博士 (Ph.D. University of Groningen, 2006 (Linguistics、言語学))
経済学部 経済学科

北東アジアの先住民族ニヴフ人の言語であるニヴフ語の調査・研究をしています。ニヴフ人はサハリン島においてアイヌ人の北の隣人です。20年以上にわたり現地で話者から聞き取り調査をし、ニヴフ語の記録に努めてきました。

キーワード
  • 先住民族
  • 言語保持
  • ニヴフ語
  • Indigenous people
  • Language maintenance
  • Nivkh

シーズ(研究)紹介

ニヴフ語は話者数が極めて少なく、世界的に見ても記録・記述の緊急性が高い言語です。現在、日常的に使用される言語はロシア語ですが、ニヴフ語の使用を普及させるための言語保持活動も熱心に取り組まれています。

図1:ニヴフ人の居住域

写真:ニヴフ人の故地の一つ、サハリン島西海岸アレクサンドロフスク・サハリンスキー(亜港)

図2.ニヴフ語現地調査の成果を公刊した『ニヴフ語音声資料』にはニヴフ語の会話や民話、歌謡が収録されている

(ロシア語、英訳、和訳付き)

実績と今後の活動予定

1998年サハリンにてニヴフ語の現地調査に着手
1999年~2000年サハリン州郷土博物館客員研究員として現地に居住、調査
2001年~2005年University of Groningen(オランダ)研究助手
2005年以降 札幌学院大学を拠点に科研費等の研究助成を得ながら現地調査を継続し、記録した言語データを『ニヴフ語音声資料』として公刊(2016年までに計13号)。
今後はサハリン、アムール両地域での現地調査を予定。

地域や産業界、自治体に向けて

世界に6,000以上あるとされる言語の9割は今世紀中に消滅するとの予測があります。言語は個人のアイデンティティの拠りどころであることが多く、それが失われることは個人のみならずその個人が帰属意識を持つ集団にも大きな社会的インパクトを与えます。少数言語は、手をこまねいていてはたやすく大言語にとって替わられてしまいます。話者数の大小にかかわらず、言語を保持・保護することは地域に活力をもたらします。言語学者はそのための支援ができる存在です。